今年(2024年)は日本母親大会がここ和歌山の地で初開催となります
母親大会誕生となった原点に立ち返り、70年の歩みと私たちを取り巻く“今”を見
つめながら、未来につなぐ「平和運動の形」を多様な視点から語り合いましょう
1954年3月1日未明、太平洋上のマーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカが行った水爆 実験によって、近くの島々の国やマグロ漁をしていた日本の多くの漁船が「死の灰」を浴び ました。事前には、何も知らされてはいませんでした。漁師たちの証言に共通していたのは、 「空がオレンジ色に染まり、大きな爆発音がした」という言葉でした。その時、静岡県焼津 港から出港していた第五福竜丸の乗組員23名も被曝し、その一人、久保山愛吉さんが半年 後、激しい苦しみの中で亡くなったのです。
広島、長崎に次ぐ三度目の原水爆被災を知った日本の人々は、大きなショックと怒りを感 じ、すぐに「原水爆禁止」の声を上げ署名活動を呼びかけました。その呼びかけに、女性た ちはいち早く呼応し、東京都杉並区の主婦たちがエプロン掛けで始めた署名活動は、瞬く間 に全国へ広がっていきました。「男女平等」を保障した日本国憲法に背中を押され、「市井で くらす一般」の女性たち、とりわけ、家庭の母親たちが多く参加した初めてともいえる「全 国的な社会運動」でした。家族が戦死しても、台所の片隅で黙って耐えるしかなかった女性 たち、そして、二度と夫や子どもを戦争で失いたくないと思う母親たちの必死の思いから生 まれた行動だったのです。総署名数は、3000 万筆に達したと記録されています。
翌年6月に第一回日本母親大会、7月にスイスのローザンヌで世界母親大会、8月には、 原水爆禁止世界大会が開催されました。「母親大会」と「原水爆禁止運動」は、「双子の平和 運動」と呼ばれ、長く協力・連携しながら「核のない世界」への運動を推進してきたのです。
『ビキニ被災』から70年の今年、和歌山で日本母親大会が初開催されます
ビキニ被災70年の今年、和歌山で日本母親大会が開催されます。 2月22日に開催された第1回日本母親大会実行委員会で、全体会講演の講師は、 安田和也氏 第五福竜丸展示館(東京都江東区夢の島 2-1-1)主任学芸員 に決定しました。とてもタイムリーな、そして「in 和歌山」にふさわしい講師です。
第五福竜丸がたどった歴史や久保山愛吉さん以外の乗組員のその後の人生、アメリカと日 本政府が蓋をしようとした事実を市民たちが地道な調査で明らかにしてきた「ビキニ被災」 の実相を、その後の原水爆反対運動の歩みと共にお話しいただけるのではと思います。
ここでは、第五福竜丸が和歌山県と深い関係があることを少しお伝えできればと思います。 第五福竜丸は、和歌山県東牟婁郡旧古座町(現串本町)で建造されたカツオ漁船でした。数 年後に静岡県の船主に譲渡されマグロ漁船として改造され、船名「第五福竜丸」となりまし た。ビキニ被災の後は、また持ち主が変わり、やがて廃船となり、東京都江東区の夢の島(ご み集積場)に捨てられます。その時、まだ使えたエンジンだけは、また次の船主に引き渡さ れ、しばらく使用された後、熊野灘沖で遭難し海底深く沈んでしまいました。(1968.7)
やがて、そうした事実を知った海南市在住の市民が広く呼びかけ、多くの市民、労働組合 やわかやま市民生協が協力し合って、引き上げを実現させたのです。(1998.8) そのエン ジンは、今、第五福竜丸展示館の庭に展示され、世界に向けて静かに核廃絶を訴え続けてい ます。第五福竜丸と和歌山には、このような奇(く)しき縁(えにし)があったのです。
「核戦争の危機から子どもを守ろう」と歩み続けて
「母親大会」の誕生は、全国中に広がった母親たちを中心とした「原水爆禁止」の署名運 動を世界に知らせたいと、婦人団体連合会の平塚らいてうが、国際民主婦人連盟に「原水爆 禁止を願う日本女性の訴え」を送ったのがきっかけでした。国際民婦連は「恒久平和と子ど もの幸せ・婦人の開放」の3つを運動の柱としており、女性の権利とともに、ナチスドイツ や日本軍国主義によって、多くの子どもたちの命が奪われた事実をふまえて、戦争から『子 どもを守る』ことは女性の要求」として、ここに、「世界母親大会」の名称で開催が決定し たのでした。大会で読まれた「生命を生みだす母親は 生命を育て 生命をまもることをの ぞみます」の詩を受け止め、母親大会のスローガンとしてずっと大切にしてきています。
1955年6月、世界母親大会を1か月後に控え、第1回日本母親大会が開催されました。 世界母親大会開催後は、その報告会として第2回日本母親大会、各地の県母親大会や地域母 親大会が開催されました。世界母親大会は 1 回だけでしたが、日本中に根付いた母親大会 は、いろんな要求の実現に広がり発展し続けました。今私達の身近にある要求別の組織や団 体も、母親大会での話し合いがきっかけとなって実現したものも多いのではないでしょうか。
未来につなぐ「平和運動の形」を多様な視点から語り合いましょう
ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのパレスチナ・ガザへの爆撃の終わりが見えない中、 破壊され尽くした街並み、その下で失われ続ける生命に胸が詰まります。戦争責任も関与も ない子どもや女性が犠牲者の大半だと言われています。国内でも、政治を私物化しながら平 和憲法を踏みにじり軍拡に暴走する権力者たちに、これ以上好きにさせてはおけません。
「戦争・殺戮を即時止めよ!戦争準備を止めよ!国民のための政治をせよ!」と世論の声 と行動の輪をもっともっと大きくしていく時です。女性たちが中心になって進めてきた「い のちを育て守る平和運動=母親大会」の存在価値と責任は、今一層重く大きいと思います。
次の時代に合った母親大会の在り様も、行動しながら考え、語り合っていきましょう。
日本母親大会のちらしとポスターが出来上がりました。
日本母親大会〈公式ページ〉でご覧ください。魅力ある分科会が満載です。
現地実行委員会は、これまで和歌山県母親大会に加盟していた23団体に加えて、新たに、13団体と5名の個人が加盟してくださり、協力したり手分けをしたりして諸準備を進めてきました。具体的な取り組みや分科会の魅力や特徴は、「わかやま母親通信」各号に具体的に載せています。ぜひ、目を通してください。
さて、「in和歌山」を開催するにあたり、和歌山県独自のオプション企画にも力を入れました。9月28日(土)全体会終了後の18:30より、和歌山県民文化会館小ホールで、和歌山市出身の女優 有馬理恵さんを迎えての「おしばいとおはなし」を準備しました。有馬さんは、現在、劇団俳優座代表取締役社長に就任され多忙を極める中、出演してくださいます。ぜひ、ご観賞ください。詳しくはチラシをご覧ください。
さらに、9月の「日本母親大会in和歌山」の盛会・成功への大きなステップとして、7月6日にプレ集会「第68回和歌山県母親大会」を開催します。そのちらしを掲載しますので、これもご覧いただき、ぜひ、ご参加ください。
お知らせ
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わかやま母親通信「第115号(改) 2024年6月1日発行」
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わかやま母親通信「第115号 2024年5月13日発行」
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わかやま母親通信「第114号 2024年4月27日発行」
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わかやま母親通信「第113号 2024年3月30日発行」
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わかやま母親通信「第112号 2024年2月24日発行」
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わかやま母親通信「第111号 2024年1月20日発行」
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わかやま母親通信「第110号 2022年12月8日発行」
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わかやま母親通信「第109号 2023年11月15日発行」
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わかやま母親通信「第108号 2023年10月3日発行」
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わかやま母親通信「第107号 2023年9月9日発行」
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わかやま母親通信「第106号 2023年7月2日発行」
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わかやま母親通信「第105号 2023年7月1日発行」
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わかやま母親通信「第104号 2023年5月13日発行」
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わかやま母親通信「第103号 2023年4月15日発行」
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わかやま母親通信「第102号 2023年3月18日発行」
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わかやま母親通信「第101号 2023年2月18日発行」
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わかやま母親通信「第100号 2023年1月21日発行」
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わかやま母親通信「第99号 2022年12月8日発行」
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わかやま母親通信「第98号 2022年11月18日発行」
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わかやま母親通信「第97号 2022年9月3日発行」
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わかやま母親通信「第96号 2022年7月14日発行」
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わかやま母親通信「第95号 2022年7月2日発行」
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わかやま母親通信「大会特集号 2022年6月19日発行」
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わかやま母親通信「第94号 2022年5月7日発行」
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わかやま母親通信「第93号 2022年4月16日発行」
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わかやま母親通信「第92号 2022年3月19日発行」
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わかやま母親通信「第91号 2022年1月15日発行」
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第65回和歌山県母親大会を来年へ延期します。
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わかやま母親通信「第82号 2020年4月7日発行」
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わかやま母親通信「第81号 2020年3月21日発行」
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第65回和歌山県母親大会チラシができました。
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わかやま母親通信「第73号 2019年4月20日発行」
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分科会チラシ・申込書を掲載しました。
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第64回和歌山県母親大会チラシができました。
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わかやま母親通信「第70号 2019年01月26日発行」